世界から猫が消えたなら
川村元気 マガジンハウス
脳腫瘍により余命数日から半年と言われていた主人公は悪魔に、明日で死ぬといわれます。そして、寿命を延ばす代わりにある取引を持ち掛けられます。
「この世界からひとつだけ何かを消す。その代わりにあなたは1日の命を得ることができるんです」
主人公は電話、映画、時計と消していきます。次に悪魔に猫を消すといわれますが、消すことができずに主人公は自分を消すことにというお話です。
主人公は元恋人とのやり取り、飼い猫との会話、母親の死と父親との関係について考えます。
猫との会話が興味深かったです。猫はもともと死んだ母親が可愛がっていました。
悪魔の力で話せるようになった猫は、母親のことは覚えていません。
主人公はアルバムを見せ説明しますが猫は思い出せません。
ただ、母親が死ぬ前に行った、最後の家族写真を食い入るように見ます。
結局、母親のことは思い出せませんが、「この写真に写っているこの時は幸せだったということだけは覚えているのでござる。」
うまく言えませんが、猫の、その場の幸せの風景を感じました。
一気に読める本でした。