maurumx’s blog

好きなマンガ、ライトノベル、小説、一般書、ラグビーについての感想を書いていきます。

フェルメールになれなかった男 読書 感想

フェルメールになれなかった男 フランク・ウイン 小林頼子・池田みゆき訳

 

贋作者ハン・ファン・メーヘレンを描いた小説です。

 

ハンは絵の才能がありましたが、私生活の問題により絵の批評家を敵に回します。批評家の判断がいかにいい加減なものであるかを証明するために贋作づくりを始めます。

ハンは絵の鑑定時の化学分析に備えて研究しています。贋作の作成過程や、批評家をはじめ人々がハンの作品が贋作であると公表した時の世の中の反応など面白かったです。

ハンが贋作と発表しても、新作であると言い張る人がいるのも面白い話でした。

絵をはじめ芸術は権威のある者の意見で価値が増幅されていくものだと思いますが、バブル的なものだと感じました。買い手が複数いる限り、価値(値段)は上がり続けます。

私は絵には興味がないですが、楽しめました。

 

「ことばは我々のものの見方ばかりでなく、見えてるもの自体の性質をも変えてしまう」

「批評家の本当の仕事は、聞き手を信じさせることではなく、聞き手に同意してやることだと知っていた」

この二つの文言が、気に入りました。特に「批評家の本当の仕事は~」は批評家を別の言葉に置き換えても通じることだと思いました。