幕末日本を救った「先見力と胆識」逆風の中の名リーダー 書籍 感想
幕末日本を救った「先見力と胆識」逆風の中の名リーダー 新井喜美夫 プレジデント社
幕末に生きた井伊直弼、小栗忠順、河合継之助、勝海舟、徳川慶喜について書かれています。
井伊直弼の見方が変わりました。イメージで悪の人でしたが、何が悪かわからなくなりました。
安政の大獄で、死刑や獄死したのは8人で、新選組の池田屋事件の死者数の半分あまりだったそうです。大獄というので死者数がものすごいと勝手にイメージしていました。
井伊直弼は日本の開国・近代化も思い描いていたようで、保守勢力にやられたという感じでしょうか。
小栗忠順の頭の良さは、先を見る目は凄いですね。新聞を作ろうとしたり、横須賀製鉄所を作りました。アメリカでパナマ運河の工事費を尋ねたりして、公共工事の資金面の費用を考えてたりしたようです。有能な人材が、幕末に残念な殺され方をしてしまいました。
小栗忠順をライバル視していたものとして勝海舟が書かれています。自分の思ったことを行う実行力という面では凄い人なのだと思いました。ただ、小栗忠順に比べると頭脳面は敵わず、政治力だけの人に見えました。
勝海舟により、日本人の手により咸臨丸で初の太平洋横断をしたものだと思っていましたが、アメリカ人のブルック大尉以下10人の外国人の手助けがなかったら航海は難しかった印象を受けました。それを、自分の手柄のように言っていたとは残念に思います。
この本の中で、『かつて横浜の外人墓地を守るために、その一生を捧げた安藤寅雄氏が、「ここに眠っている外人たちが、墓の中から生き返ってきたとするならば、明治の歴史は大きく書き換えねばならなくなるであろう」と言ったことを覚えている。』とあります。どんな歴史として書かれるのでしょうか。