maurumx’s blog

好きなマンガ、ライトノベル、小説、一般書、ラグビーについての感想を書いていきます。

ルールの世界史 読書 感想

ルールの世界史 伊藤毅 日本経済新聞社

 

ルールという視点で世界史(歴史)における革新的な技術や考えを解説してくれる本です。

著者は結論として「ルールは人の欲求や才能を開花させるコミュニケーション・ツールである」としています。

 

印象に残っているエピソードは自動車の歴史です。

イギリスで蒸気自動車が開発され、商売としてバス会社を始めた人がいたが、競合する乗合馬車の組合などの既得権益団体が立ちはだかります。蒸気が危険だなどと理由をつけて蒸気自動車を規制する法律を作り出します。また、馬車は蒸気自動車に車体をぶつけたり、通行を妨害したり、ターンパイク(民間有料道路)の通行料を蒸気自動車だけ高い料金にしたりします。そんな規制があると、商売として成り立たないので、イギリスの自動車産業は発展しなかった。ドイツも同様だった。フランスはそう言った規制はなく(たまたま影響力のある当時の指導者が自動車好きだった)、1800年代はヨーロッパの自動車産業の中では一番であった。

アメリカは新しい国だったので、規制が少なく、州によっても規制の度合いには違いがあり、規制が厳しくないところで発展した。特にフォードの工場で大量生産が成功し、アメリカは自動車製造で世界一になりました。

既得権益のしがらみで、新しい技術の導入が遅れることは、今の日本に重なる気がします。

 

国により(国民性により)ルールのとらえ方や考え方の違いが紹介されており面白いです。

 

また、『ルールの目的としての「楽しそうな未来像」』とありました。ルールの中で生きていく以上、「楽しそうな未来像」をもとにつくられたルール、「楽しそうな未来像」につながるルールが多いとよい社会なのでしょうね。